ウイスキーってどうやって作るの?
蒸留所の中をのぞいてみよう!
ウイスキーのラベルには「シングルモルト」「ポットスチル」「熟成10年」…
なんだか専門的な言葉が並んでいて、ちょっと敷居が高そうに感じるかもしれません。
でも安心してください。
実はウイスキー作りの工程は、ひとつひとつはとてもシンプルなんです。
今回は、「どんな流れでウイスキーは生まれるのか?」「どんな機械が使われているのか?」を、図解とともにやさしく解説します!
ウイスキーができるまでの基本工程
全体の流れ(ざっくり7ステップ)
① 粉砕(ミリング)
② 仕込み(マッシング)
③ 発酵(ファーメンテーション)
④ 蒸留(ディスティレーション)
⑤ 熟成(マチュレーション)
⑥ ブレンド(必要な場合)
⑦ ボトリング(瓶詰め)
これをひとつずつ見ていきましょう。
①ミリング(粉砕):味の土台を作る“最初の一手”
まずは大麦を粗く粉砕するところから。
この粉は「グリスト」と呼ばれ、ウイスキーの味のベースになります。
- 使用機械:ローラーミル(歯車のようなロールで潰す)
- ポイント:細かすぎても粗すぎてもNG。水とのなじみやすさが重要。
②マッシング(糖化):甘みを引き出す“おかゆ作り”
粉砕したグリストに温水を加えて糖を抽出します。
見た目はおかゆのような状態で、ここで得られた液体を「ウォート(麦汁)」と呼びます。
- 使用設備:マッシュタン(巨大な釜)
- 香りの印象:ほんのり甘く、麦茶のような香ばしさ
③ファーメンテーション(発酵):泡と香りの“はじまりの瞬間”
ウォートに酵母を加えると、アルコールと香りが生まれる大事なステップ。
2〜4日ほどかけて自然に泡立ち、6〜8%の「もろみ」が完成します。
- 使用設備:ウォッシュバック(発酵槽)
- 木製とステンレス製があり、香りや口当たりに影響することも
④ディスティレーション(蒸留):香りを“研ぎ澄ます”工程
できたもろみを、2回に分けて加熱・蒸留します。
ここで使われるのが、有名な「ポットスチル(蒸留器)」です。
- ポットスチルの形:首が長いと軽くフルーティー、短いと重厚でオイリーに
- 1回目:粗留(ウォッシュスチル) → アルコール約25%
- 2回目:再留(スピリッツスチル) → 約70%に精製
蒸留器の“くびれ”や“傾き”が香味のキャラクターを左右する、まさに職人技の世界。
⑤マチュレーション(熟成):樽のなかで眠る“時間の魔法”
蒸留されたスピリッツは、樽に詰めて数年〜数十年かけて熟成されます。
ここで味わいに奥行きが生まれるのです。
- 使用樽:バーボン樽(バニラやココナッツ)、シェリー樽(レーズンやナッツ)など
- 香りの変化:新樽はスパイシー、古樽はやわらかく滑らかに
⑥ブレンド(必要な場合)&⑦ボトリング:仕上げて、いざ出荷!
シングルモルトは単一蒸留所の原酒のみ、ブレンデッドは複数を絶妙に調合(ブレンド)して作ります。
最後は瓶詰めして、私たちのもとへ。
- 最終工程では加水(加える水)で度数を調整
- ノンチルフィルター(冷却ろ過なし)のタイプもあり、油分や香りが豊か
まとめ:工程を知ると、ウイスキーがもっと“面白く”なる
一見難しそうに感じるウイスキー造りも、工程をたどってみれば
「麦が香りへ変わっていくドラマ」のようなもの。
初めて蒸留所を見学したとき、ポットスチルが湯気を立てている姿に感動しました。
あの時の“香り立つ銅の匂い”は、今でも脳裏に残っています。
次にウイスキーを飲むとき、少しだけ“工場の中の風景”を思い浮かべてみてください。
その一杯が、ぐっと奥行きのある味わいに感じられるはずです。
コメント